A:狩猟の天才 アレクトリオン
ジズ属の魔物は、ペアで狩りを行うのを知ってる?
獲物を見つけ追い立てる「見張り役」と、待ち伏せて仕留める「伏兵役」よ。
だけど、「アレクトリオン」は見張り役を放棄し、たった一匹で狩りを続けて、相棒を餓死させたというわ。
いわばジズ界の「狩猟の天才」といったところかしら。
~モブハンター談
https://gyazo.com/23ea1f8b3833868fc1a80fd54556cd03
ショートショートエオルゼア冒険譚
ずっと疑問だった。
何故わざわざタイミングを合わせにくかったり、邪魔で攻撃しにくかったりする狩猟が下手くそな奴に合わせる必要がある?
何故目の前の獲物をただただ仕留めるだけの事に面倒臭い相棒がいる?
相棒を作ったがためにとり逃した獲物は数え切れない。
それにどんなに足でまといな奴でも、共に狩りをしたら獲物を分けなければならない。
「食い扶持が増えたら飯が減るじゃないか」
いつもそう思ってきた。だから自分だけで狩るようになった。
そうして単独で獲物を狩るようになって分かった事がある。
それまで相棒だ、仲間だ、という先入観に捕らわれ考えもしなかったが、奴らもアレクトリオンの獲物だった。寧ろ、同族だとの謎の安心感からか、油断した奴らを狩るのは他の獲物を狩るのの何倍も楽だった。
その日も獲物を探してノフィカの井戸と呼ばれる断崖絶壁の上を歩いていた。すると崖下から何やら騒がしい声が聞こえる。長い首を伸ばして崖下を覗くと果たして2匹のジズが丁度行商の商隊を挟み撃ちで襲っているのが見えた。
これはいい。獲物が獲物を襲っているのだ。一挙両得。一度に大量の食料が手に入るようなこんなチャンスは滅多にあるものではない。
舌なめずりしながら距離の近い方のジズ目掛けて崖上から飛び降りた。重力に引かれ加速しながら狙いを定め、右足で同族の首を捻りながらその胴体の上へと着地した。と同時に右足にジズの脛骨が折れる感触を感じた。
足元のぐったりしたジズに留めを刺すと大きな勝鬨を上げながらもう一匹のジズを睨みつけ威嚇する。人間は悲鳴をあげながら散り散りになって逃げ出した。
瞬時に相棒を失ったジスはあまりに予想外の出来事にパニックになり、見苦しくバタバタ羽を動かしながら後ずさった。